幸せを呼ぶ「コウモリ」

 長崎の町では夕方から朝にかけ多くのコウモリが飛翔している。

5月から10月ごろまで、夕方の空を見上げて欲しい。

ツバメとは明らかに異なるヒラヒラとした飛び方、アブラコウモリ(イエコウモリ)である。

 

部屋に入り込んだアブラコウモリ(西彼杵郡長与町)

 

クーラーから入ってきた(?)アブラコウモリ(長崎市)



飛んでいる時には大きく感じるが、手に取ってみると意外と小さい。

 

手のひらの上のアブラコウモリの死体(西彼杵郡長与町)

 


 イソップ童話にコウモリが登場する。

「鳥と獣とコウモリ」の中で、鳥と獣が戦争をしているとき、コウモリは勝っている方の味方をするが、戦争が終わると両方からつまはじきにされ、一生洞窟で暮らすようになり、夜に飛び回るようになったという話だ。

私がコウモリなら「よけいなお世話だ。勝手に私生活を使うな」と言いたくなる。

また、西欧では吸血鬼ドラキュラの化身といわれ、映画や物語では悪役として登場することが多い。

他にも、大半のコウモリは小さな虫やフルーツを食べているのに、南米に生息するというチスイコウモリ(吸血コウモリ)だけが大きく扱われ、コウモリ全体の評判を落としている。悪い例を挙げるときりがない。

 しかし、お隣の中国ではコウモリは幸せを呼ぶ動物である。

コウモリは桃とならび慶事・幸運のしるしとして大変おめでたいもので、特に5匹のコウモリを描いたものは五福と呼ばれ、最大の幸福を意味している。

コウモリの漢字「蝙蝠」の「蝠」の字が、福が寄ってくるという意味の「偏福」の「福」と同様に「フウ」と発音するので、非常にめでたいとされているそうだ。

中国との関係が深い長崎では、中国寺の一つ崇福寺の第一峰門の角に青い4頭のコウモリの絵が描かれている。

 

崇福寺(長崎市)

 

国宝の第一峰門(長崎市)

 

第一峰門のコウモリ(長崎市)


この門は長崎にある3つの国指定国宝建造物の一つである。

ちなみに、残り2つは、同じ崇福寺の大雄宝殿と日本最古の教会である大浦天主堂になる。

また、カステラの本家「福砂屋」の商標はコウモリであり、同じような理由によるもの。

中華街のお土産にもコウモリの描かれた招福が販売されている。

長崎の町ではコウモリは福を呼ぶ吉兆の動物なのだ。

 

 我が家の2階の軒下に住んでいたコウモリは、糞のし放題で、軒下の天板を腐らせてしまった。

 

コウモリの糞で腐れた軒下(西彼杵郡長与町)

 

出て行って欲しかったのだが幸せを呼ぶならと放っておいた。

しかし、数年前ついに天板が外れて落下したので、修理のため出て行ってもらった。

「申し訳ないけど他の家で元気に育ってね」という気持ちだった。

それでも、最近またやってきた。

きれいに修理した軒下には入れないのだろう、別の場所の軒下にコウモリの糞が見られるようになってきた。

 

アブラコウモリの糞(西彼杵郡長与町)

 

瓦のちょっとした隙間から入り込んでいるようだ。

何とか出て行ってもらいたいと思い、フマキラーやスズメバチ退治の強烈なやつを噴射してみたがあまり効果はなく、しばらくすると糞が落ちている。

気に入られたのなら仕方がないと諦めてはいるが、せめて「吉を運んでくれるんですよね」と見返りを思ってしまう。

 

 コウモリを目の前で見るなら長崎バイオパークがおすすめ。

熱帯館の中にオオコウモリがぶら下がっている。

インドから東南アジアに分布しているインドオオコウモリである。

餌を食べるときや排出するときが面白いのでぜひ見てほしい。

 

長崎バイオパークのインドオオコウモリ(西海市)