「げんこつ山のたぬきさん・・・」や「たんたんたぬきの・・・」の歌でおなじみの『タヌキ』は、人にとってなじみ深い里の獣の代表といえるだろう。
けものへんに里とかく「狸」、本当にそうだなと思う。
短大での講義中に、本物のタヌキを見たことがあるかを聞いたところ数名の学生がドライブ中や交通事故の死体を見たと答えてくれた。
でも、多くの学生が、動画の中でしか見たことがないという。
精悍な姿のタヌキ(12月に西海市御床島で撮影)

大きさは中型犬ぐらいで、ふさふさとした長い毛と見事なしっぽをもち、その顔はいわゆるタヌキ顔ではなく、どちらかというと精悍な顔つきに見える。
夏と冬では毛の量が異なるので、タヌキを見るなら冬毛のときがよい。
夏毛のときはどうしても貧相に見えてしまう。
自動撮影カメラで撮影したタヌキ(4月に大村市で撮影)

自動撮影カメラで撮影したタヌキ(12月に大村市で撮影)

姿は見ることができなくても、痕跡で確認することはできる。
足跡とトイレのため糞である。
足跡は、イヌ科のイヌやキツネと似ているので判別は難しいかもしれない。
多分、ため糞が一番分かりやすいと思う。
比較的見晴らしのいい場所にご近所さんが同じトイレを利用する。
井戸端会議をする仲間の情報交換の場所かもしれない。
さらに、見えないところに隠れてするのではなく、道路や橋の上、広場などの開けた目立つ場所でするので、比較的簡単に探すことができる。
道路の真ん中にあるタヌキのため糞(諫早市で撮影)

橋の上にあるタヌキのため糞(壱岐市大島で撮影)

県本土では普通だが、五島列島や対馬には生息していない。
壱岐や平戸では普通なのに五島列島で見られないのは不思議な気がする。
県本土や壱岐・平戸に近い島々(有人島も無人島も)にも生息しているので、意外とタフな動物である。
30年ほど前、ヒゼンダニによる疥癬にかかったタヌキが目立つようになってきた。
感染すると、激しいかゆみが襲い、毛が抜けてしまい、最後には衰弱して死んでしまうという。
本当にみすぼらしい哀れな姿。
そのころ、一般の方から写真が届き、動物名を教えてほしいと依頼されたことがある。
毛のない肌がむき出しの哀れな死体であった。
何という動物か全く分からなかったので、専門家に依頼したらタヌキということだった。
ヒゼンダニによる疥癬の被害を初めて知った。
その後、交通事故で死んだ裸のタヌキを見る機会が多くなってきた。
写真もたくさん持っているが、ここに載せることはやめておこう。
タヌキは、集団生活をしているので、誰か一匹でも感染すると全体に広がってしまうようだ。
疥癬にかかっていると思われるタヌキ(大村市、12月に自動撮影カメラで撮影)

「タヌキが交通事故で死んでいた」という話を聞くが、その大半は「アナグマ」という大きさも顔かたちもよく似た動物である。
私が観察した限りでは、現在の長崎県での事故死は、タヌキよりアナグマの方が多い。
さらに、最近はアメリカからやってきた野生のアライグマ(特定外来生物に指定)も増えだし、生きている姿をちょっと見ただけでは識別が難しくなってきた。
タヌキに間違われるアナグマ(佐賀県で撮影)

タヌキに間違われるアライグマ(長崎バイオパークで撮影)

タヌキの置物は、長崎県内では2か所で発見した。
西海市御床島突端と雲仙市の饅頭屋さんの前にあるタヌキたちである。
愛嬌のある姿を見るとついシャッターを押してしまう。
西海市崎戸島のタヌキ

雲仙市の饅頭屋さんの前のタヌキ
