お腹の赤は警告色-アカハライモリ-

 井戸に棲み、井戸を守ることから名付けられたという『井守(いもり)』はれっきとした両生類。

家にすむ家守(やもり)の爬虫類とは違う。

 

両生類のアカハライモリ(平戸市で撮影)

 

爬虫類のニホンヤモリ(西彼杵郡長与町で撮影)

 

 正式名称『アカハライモリ』は環境省の絶滅危惧種に指定されているが、県内では、まだまだ普通に見られる。

しかし、五島列島や壱岐などの島嶼、市街地や住宅街では、水田・湿地・池などの消失や悪化から、大変少なくなっている。

 

 背中は黒く、腹に赤い模様があることから気味悪く思われがちだが、そのどぎつい赤は毒を持っていることを誇示した警告色だ。

毒はフグと同じテトロドトキシンで、数匹食べただけでフグ中毒と同じような症状が出てくるとのこと。

みなさん、自由に触ってもいいが、どんなにお腹が空いてもイモリだけは食べないように注意。

 

体中に毒を持つアカハライモリ(五島市で撮影)

 

 

 繁殖期は5月から6月にかけての田植えのシーズン。

この頃になると雄のしっぽは紫色に変化し、ますます派手になる。

いわゆる婚姻色である。

婚姻色のでた雄は、雌を捜して動き回り、気に入った雌を見つけると、その鼻先にしっぽを曲げて細かく震わせるプロポーズを繰り返す。

雌の気を引くことだけに必死になっている雄の一途な姿は、実にユーモラスで、思わず「頑張れ」と励ましたくなる。

 

雌の鼻先でプロポーズする2匹の雄(長崎市で撮影)

 

 雄の放出した精子の塊を取り込んだ雌は、体内で受精させ、産卵行動に入る。

産卵は、1個ずつ後肢を使いながら水草に挟み込むようにしながら行う。

写真の卵は研究室の水槽内で産卵したもの。

ふ化した幼生はしばらく水中で育ち、やがて変態して陸上に上がっていくことになる。

 

水槽で産卵したアカハライモリの卵

 

アカハライモリの幼生(外鰓が出ている)(諫早市で撮影)

 


イモリの黒焼きは「惚れ薬」として有名である。

その製法や効果について、工作舎出版の碓井益雄著「イモリと山椒魚の博物誌」に詳しく書かれている。

興味のある方はぜひとも読んでいただきたい。

平成の最初ごろ、イモリの毒について研究していた長崎大学水産学部の院生に、イモリ採集で協力したことがある。

その時に見せていただいたのが、東京で販売されていたというイモリの黒焼きの本物とその説明書である。

私も一袋頂いたが、どこかで誰かに使いたいなと思いながらも、使うチャンスに恵まれずこの歳になってしまった。

もったいない事である。

 

イモリの黒焼きの説明書

 

イモリの黒焼き



高校時代、生物部に所属していた。

学校周辺の昆虫採集やカスミサンショウウオの卵の発生などを観察していた。

文化祭の時は、他の文化部に負けないようにと工夫を凝らしたものである。

3年間の部活動の中で、一番の思い出はイモリの再生実験である。

イモリの再生能力は高く、しっぽや前後の肢がなくなっても再び元通りになってしまう。

カエルの肢は再生しないのに、イモリはまるで不死身のような感じであった。

100匹程度のイモリを採集し、しっぽや肢をいろいろな場所でいろいろな角度で切断し、どのように再生するかを確かめた。

何か月もの間、夢中になって実験したが、今考えるとイモリさんには気の毒な事をしたなと思う。

でも、面白かった。

詳しいことは覚えていないが、教科書で習ったことが本当だなと実感した記憶がある。

 

しっぽの一部を切断、再生途中の尻尾の先