今回はちょっと珍しい写真を頂いたので紹介したい。
長崎県で鳥の観察をされている日本鳥類保護連盟専門委員の村田さんからお借りしたイソヒヨドリの夫婦である(図1)。
村田さんは、長崎ケーブルテレビで制作されている『なんでんカフェ』で「四季鳥々」のコーナーを担当され、長崎の可愛い鳥たちを紹介されている。
撮影時期は2020年5月31日、場所は長崎市田中町。
子育て中の夫婦が餌を運んでいる途中のワンシーンである。
この写真を見て、私には次のような夫婦の会話が聞こえてきたのだが、皆さんはどうだろうか。
ちなみに、写真左が雌(妻)、右の派手なのが雄(夫)である。
図1.イソヒヨドリの夫婦(2020年5月、長崎市で撮影)

夫:おいしそうなフナムシ(?)だろう。
子どもたちの大好物、きっと喜ぶぞ。
妻:あーら 何てみすぼらしいの。
私の獲物を見てごらん。ヤモリよ。
夫:うわー ショック ‼ フナムシでは見劣りがするなあ。
妻:先にあなたが食べさせてきて。
美味しくて栄養のあるものは後でね。
夫:分かったよ。先に行くよ。
ヤモリの後じゃ食べてくれないしね。
妻:当然でしょ。
もっと働いていいものを捕ってらっしゃい。
夫:は~い。頑張りまーす。
イソヒヨドリはヤモリやトカゲ類をよく捕まえている。
ヤモリやトカゲからすれば大嫌いな天敵である。
ちなみに、雌が捕獲しているヤモリは、色合いや撮影場所から考えてニホンヤモリと思われる。
本来は夜行性で昼間は狭い隙間に隠れていたはず。
見つかるはずがないのに、どうして昼間に捕まってしまったのだろう。
ニホンヤモリとしては、しっぽを自切(自らしっぽを切って本体を生き延びさせる)したようだが、無駄な抵抗に終わってしまった。
写真のニホンヤモリ(図2)は、長崎市野母崎町で道路脇の水抜き穴に隠れていたものを取り出して撮影した。
もしかしたら、イソヒヨドリも同じように捕獲したのかもしれない。
図3の写真は、同じく道路脇の水抜き穴に産卵されたニホンヤモリの卵である。
図2.ニホンヤモリ(2012年11月、長崎市野母崎で撮影)

図3.ニホンヤモリの卵塊(2019年9月、長崎市三ツ山町で撮影)

ある晴れた日、道路脇にあるコンクリートの水抜き穴の側でトカゲが日向ぼっこをしているのが見えた(図4)。
図4.ニホントカゲ(2023年4月、長崎市竿の浦で撮影)

遠くから観察していたら、イソヒヨドリが飛んできて、トカゲを咥え、飛んで行こうとした。
しかし、大型の個体だったので重かったのだろう。
私が見ているのも気にせず、道路上で落としては咥えるというバトルの開始。
トカゲは必死で逃げ回るが、イソヒヨドリも負けてはいない。
羽をバタバタしながら、追いかけては捕まえ、隙間に逃げ込むことを許さない。
どっちが勝つか興味津々で見ていたら、最後はイソヒヨドリが重いトカゲを咥え、よたよたと飛んでいった。
バトルをしていたのは色がきれいな雄だった。
村田さんから写真を頂いた後だったので、自分で考えたセリフを思い出しまう。
この大きなトカゲなら、雌からバカにされることはないだろう。
きっと、持ち帰った巣の中で褒めてもらっているだろうなと嬉しくなってしまった。