フクロウとアオバズクの赤ちゃん

 鳥のことは全く分からないが、長崎ケーブルテレビで、「森きららで保護フクロウのようちゃん」という番組を作った。

2021年9月のことである。

保護されたフクロウの赤ちゃんを育てて放鳥するまでの物語である。

森きららには九十九島動植物園動物病院レスキューセンターが設置されており、長崎県からの委託を受け傷ついた野生鳥獣の救護活動を行っている。

そこでの活動の1つを番組にさせていただいた。

 

フクロウのゆみこ(2021年6月15日、レスキュウセンター内でようちゃんと同居しているのを撮影)


 

 2021年5月18日に巣から落ちたであろうフクロウの赤ちゃんが傷だらけの重症で森きららに運ばれた。

カラスに襲われていたようで近くの人に救われたようだ。

このフクロウの赤ちゃんがレスキュウ―センターで傷の手当てを受けているという情報を得たので、早速番組作りのため6月15日に第1回目の取材を行った。

名前は、幼稚園のそばで保護されたということで『ようちゃん』。

傷の手当てを受けながら、レスキュウセンタ―の中には、多くの傷ついた野生の鳥たちとともにようちゃんもいた。

初対面の日は、獣医さんからもらった肉片をおいしそうに食べていた。

もふもふとした産毛のかわいい姿、指先をあまがみしてくれる可愛い仕草が印象的であった。

赤ちゃんの状態で運び込まれたためか、人慣れしていてすぐに寄ってきてくれる。

 

フクロウのようちゃん(2021年6月15日、レスキューセンターで撮影)

 

フクロウのようちゃんと私(2021年6月15日、レスキューセンターで撮影)

 

フクロウのようちゃんと私(2021年6月15日、レスキューセンターで撮影)



 獣医さんの話によると、傷を治した後は野生復帰を目指してみたいとのことだった。

傷ついた大人なら傷を治せばすむことだが、赤ちゃんとなるとそれだけではすまないそうだ。

傷を治すだけでなく、厳しい自然界を生きていくための術も教えていかなければならない。

動物園で飼育する動物ではないので人慣れしてもらっても困るので人嫌いにもしていかなければならない。

 

 9月の自然復帰を目指しての訓練が始まった。

一番は自然界で餌が捕れるようになることである。

フクロウは餌の大半が野ネズミらしい。

まずは、冷凍したハツカネズミを丸ごと与えて食べる練習。

次は、しっぽを紐で括り付け生きたハツカネズミを自ら捕らえて食べる練習。

最後に、自由に動き回るハツカネズミを捕まえて食べる練習。

レスキュウ―センター内の飼育小屋での訓練はレベルを上げて進んでいった。

私たち取材班は、7月3日に2回目の取材。

この時は、丸ごとの冷凍マウスを食べていた。

うぶ毛から大人の毛に生え変わるころで、まだまだ人に近寄ってきていた。

3回目は7月28日。

逃げられないようにした生きたネズミを捕まえ食べていた。

このころは、多少人を警戒し近づくと逃げるようになっている。

そして、最後の9月25日、いよいよ放鳥の日を迎えた。

約3か月半、自然界で生き残るための訓練によりたくましく成長した大人のようちゃんは人間を警戒し、小屋に入ると警戒音を発している。

いよいよ放鳥である。

2か所ある外側のドアを開け、小屋から追い出そうと思っていたら、開けたとたんに逃げ出していった。

みんながあっけにとられるほど瞬間的だった。

サヨナラの一言もなく、後ろを振り返るでもなく、本当にあっという間だった。

しばらくして園内を捜してみると、近くの柵にとまってキョロキョロしている。

遠くから見守っていたら、やがて森の方に飛んで行った。

温室育ちのようちゃんが厳しい自然界で生きていけるだろうか心配だが、きっと今でもたくましく生き続けていると思う。

 

大人になったようちゃん(2021年9月25日、レスキューセンター内で放鳥直前を撮影)

 

 一般的にフクロウと呼ばれているのは「フクロウ」という名前のフクロウの仲間だそうで、多くのフクロウ科の代表的なものといえそうだ。

日本全域に広く分布する留鳥で、渡りはせず定住性が強いと言われている。

私も「ホー ホー」という不気味な鳴き声は聞いたことがあるが、その姿をじっくりと見たのは初めてであり、その可愛さにうっとりしてしまった。

 動物救護センターに運び込まれる野生動物の大半は鳥類である。

傷ついたフクロウも多いそうだが、幼鳥が運び込まれるのは非常に珍しいとのこと。

獣医さんも手探りで放鳥までこぎつけた。

私たち取材班は4回だけの面会だが、会うたびに成長した姿を見ることができた。

傷ついて保護された野生動物の赤ちゃんが、人間の手で育てられた後に野生復帰することは大変難しいこと。

しかし、「ようちゃん」は、絶対に生き続けていると思う。

 

大人になったようちゃん(2021年9月25日、レスキューセンター内で放鳥直前を撮影)

 

 

 同じ猛禽類ということで、長崎市茂木のアオバズクも紹介したい。

茂木の町中にある2本のセンダンの木には、毎年のようにフクロウの一種「アオバズク」が飛来し、営巣していた。

「今年も来たよ」という情報を得て初めて見たのは2018年6月23日のこと。

一羽のアオバズクが小枝にとまり、時々黄色い目の中の黒い瞳でこちらを見ていた。

その時に、名前の由来は「青葉(アオバ)の頃にくるミミズクの仲間」と聞き、若葉(青葉)に映えるいい名前だなと感心してしまった。

 

アオバズクの親(2018年7月7日、長崎市茂木で撮影)

 

 その後も、時々観察に訪れ楽しんでいたが、7月3日の台風で二本のセンダンのうち一本が倒れたという情報が入った。

翌日、慌てて見に行くと、営巣していない方の木が倒れており、倒れた1本の除去作業の真最中であった。

通りがかりの人たちが子どものいる方でなくてよかったと胸を撫で下ろしているのを聞き、みんな同じだなと嬉しい気持ちになった。

その後、いろいろな場所にとまっている3羽の子どもも見ることができた。

16日には1羽の親と3羽の子どもが並んでとまり、じっとしている親の側で、毛づくろいをしたり、羽ばたいたり、向きを変えたりと急がしそうに動き回っていた。

野生のすばらしい光景に幸せな感動を味あわせていただいた。

 

倒れたセンダンの木(2018年7月4日、長崎市茂木、倒れた木を除去しているところを撮影)

 

アオバズクの親子(2018年7月16日、長崎市茂木で撮影)

 

アオバズクの親子(2018年7月16日、長崎市茂木で撮影)



 次の日にはどこかに行ってしまい、それ以後は見ることはできなくなった。

毎年のように訪れていたアオバズク、2本の木の1本が折れたため、その後は訪れてくれいようだ。

地元の人のアイドルであったアオバズク、いつの日か戻ってきて欲しい。