ヤマネの調査をバトンタッチ

 ニホンヤマネ(ヤマネ)についてはケロ31でも掲載したが、今回、長崎ケーブルテレビでヤマネの番組を作るための取材に行ってきたので、そのようすを書いてみたい。

なお、ケーブルテレビでヤマネの番組を作るのは3回目になる。

私のヤマネ調査は、1993年から2015年の約20年間である。

その後は実施していない。

約10年ぶりに長崎総合科学大学の先生と学生さんが調査を引き継いでくれたので、今回、「ヤマネの調査をバトンタッチ」というタイトルで番組を作ることになった。

ちなみに、この番組の放送は次のとおりである。

長崎ケーブルテレビの放送日は令和8年1月27日の夕方5時から。

NBCの放送日は2月5日の午前10:25からの「なんでんカフェ」となっている。

よかったら見ていただきたい。

 

 ヤマネについて簡単に説明しておく。

ヤマネは国の天然記念物で、北海道を除く日本各地に生息し、長崎県では多良山系だけで確認されている。

全長14cmぐらいで、尾の長さがそのうちの6cm程度になる。

背中の中央にある黒く太い線と目の周りの黒いアイラインが特徴で、実に愛くるしい姿をしている。

まさに「森の妖精」である。

ヤマネは冬眠する哺乳類として有名である。

体温を下げ、丸くなって何ヶ月も飲まず食わずの状態で寝続ける。

本州中部では6~7ヶ月も冬眠が続くそうだが、長崎県の個体は2~3ヶ月程度(轟の滝付近での調査結果)と非常に短いことが分かってきた。

本州に比べると暖かいし、冬期の餌も豊富なためであろう。

 

ニホンヤマネの親子(1996年10月27日、轟の滝付近で撮影)

 

巣箱から顔を出すニホンヤマネ(1997年9月、許可を得て飼育中に撮影)

 

自動撮影カメラで撮影したヤマネ(2012年5月27日、轟の滝付近で撮影)




 平成8年1月8日、寒波が襲っているその日が取材日であった。

諫早市小長井町にある轟の滝付近が最初の取材場所。

ここは、私が20年間調査した場所でもある。

しかし、私の調査ポイントであった川沿いの場所は、今はほとんど利用されていないということ。

総科大のチームはもう少し斜面を登った尾根付近になっていた。

その地点まで登るのが年取った我が身では大変。

ついていくのが必死だった。

 

巣箱を目指し必死で山を登る(2026年1月8日、轟の滝付近で撮影)


 やっと着いた場所には、調査用巣箱と自動撮影用のカメラ(写真と動画)が設置されている。

 

調査用巣箱と設置している自動撮影カメラ(2026年1月8日、轟の滝付近で撮影)


 巣箱を覗くとヤマネが使用した証拠の巣材が入っている。

写真や動画を見ても利用している様子が写っている。

もしかしたら冬眠中の個体が入っていないかと期待していたが、残念ながら巣材だけだった。

 

巣箱に入っていたヤマネの巣材(2026年1月8日、轟の滝付近で撮影)

 


 その後、多良岳金泉寺に移動する。

この場所にもたくさんの調査用巣箱が設置してある。

金泉寺は高校時代に多良岳登山をした時にお世話になって以来、何回となく訪れた場所。

最近は、春や秋の大祭「護摩焚き法要」にも参加したことがある。

また、境内にある金泉寺山小屋にはずっと昔のことだが何回か宿泊したこともある。

 

多良金泉寺(2026年1月8日に撮影)

 

金泉寺で開催されていた秋の大祭(2019年10月23日、金泉寺で撮影)

 

春の大祭での護摩供養(2018年3月31日、金泉寺で撮影)

 

金泉寺山小屋(2026年1月8日に撮影)




 この金泉寺の裏手の林内にたくさんのヤマネ調査用巣箱が設置されている。

またまた、山の中を移動である。

しかし、この場所はあまり急な坂ではなかったので多少の余裕で臨むことができた。

 

金泉寺裏の巣箱設置場所へ移動(2026年1月8日、金泉寺裏山で撮影)

 


ここに設置されているのは木製ではなく塩ビの管(ヤマネ専用)であった(図12)。

 

ヤマネ巣箱を確認(2026年1月8日、金泉寺裏山)

 


確認例の多い巣箱に轟の滝と同様にカメラが設置してある。

中を見てみると、たくさんのヤマネの巣材が入っている。

 

ヤマネ用巣箱と自動撮影カメラ(2026年1月8日、金泉寺裏山で撮影)

 

巣箱の中に入っているヤマネの巣材(2026年1月8日、金泉寺裏山で撮影)



慎重に中を確認したが、ここでも残念ながらヤマネ本人は入っていなかった。

設置されていたカメラの写真や動画を見てみると、12月中旬までは撮影されている。

 

自動撮影カメラの写真と動画を確認(2026年1月8日、金泉寺前庭)

 


 金泉寺での取材が終わった後、金泉寺横の小屋で弁当を食べた。

標高870mのこの場所の温度は0℃。

寒くてたまらなかったが、部屋中央にある囲炉裏が身も心も温かくしてくれた。

 

金泉寺横の小屋で囲炉裏を囲んでの昼食(2026年1月8日撮影)

 


 今回の取材ではヤマネ本体を見ることはできなかったが、調査用巣箱の中にはたくさんの巣材が入っていた。

今でも、元気に多良の森を走り回っている証拠である。

また、カメラにはヤマネの姿が写っていた。

轟の滝付近でも多良岳金泉寺付近でも森の妖精ヤマネは生き続けていることが嬉しい。

総科大の学生さんの研究が進んでいくことを望むとともに、多良のヤマネが健やかであることを祈りたい。

 

轟の滝のニホンヤマネ(1998年4月、轟の滝付近で撮影)