野外観察の時、ニホンカナヘビ(カナヘビ)という名前を紹介すると、「ヘビなのに肢があるんですね」と言われる。
まぎらわしい名前がつけられているが、れっきとしたトカゲの仲間である。
カナヘビは、しっぽの長いスマートな体型で、全長20cm程度になる。
鱗は褐色でガサついた感じ。
触っても同じで、よく間違われるトカゲの滑らかな感触とは大きく異なっている。
私は、トカゲの脂ぎった感じの鱗が苦手で触るのにも抵抗があるが、カナヘビは大丈夫。
同じ意見の人も多いと思うがどうだろうか。
道路端で休憩中(雲仙市で撮影)
同じトカゲの仲間のニホントカゲ(長崎市で撮影)
生息場所は、公園や草原・田畑の畦や山道などの開けた場所で、そこにいる昆虫などを補食している。
山歩きをしている時、前方でガサガサという音を聞きびっくりすることがある。
その音の主を目撃することは少ないが、大半が先に人間に気づいたカナヘビが逃げ去る音である。
音のした方をじっと観察すると、振り向いてこっちをじっと見つめているかわいい姿が見えることがある。
ひょっこりと顔を出したニホンカナヘビ(長崎市で撮影)
倒木の上で日向ぼっこ中のカナヘビ(西海市の無人島大立島で撮影)
ニホンカナヘビは、日本中に広く分布し、長崎県でもほとんどの島嶼を含む県内各地に生息している。
ただし、対馬だけは別で、大陸系のアムールカナヘビとなっている。
別種ではあるが、その姿はそっくり。
恥ずかしながら私には両種を識別することはできない。
要するに、対馬を除く県内各地ならニホンカナヘビ、対馬で見たらアムールカナヘビということになる。
対馬を除く県内各地に生息するニホンカナヘビ(長崎市で撮影)
対馬に生息するアムールカナヘビ(対馬市で撮影)
いつだったかは記憶していないが、初夏のころ、久しぶりに庭の草刈りをしていたら、小指の爪ほどの白い卵が4個見つかった。
庭には、トカゲとカナヘビを放し飼いにしていたのでどちらかが産卵したのだろう。
ただし、トカゲは親が卵を守るので、草むらに放置されていたこの卵はカナヘビと判断した。
我が家の庭は、団地の中の小さな庭、トカゲやカナヘビを取ってきては放し飼いにしていた。
両方とも夏には小さな個体が見られていたが、野良猫のいい餌となってしまった。
ある時、目の前で、イソヒヨドリに捕まり空の上に運ばれたこともある。
今では、一匹もいない。
カナヘビの卵(西彼杵郡長与町で撮影)
2019年5月8日の長崎新聞に「カナヘビのしっぽ二つあった」とい記事が載り、長崎バイオパークに寄贈したと書いてあったので早速見に行った。
トカゲ類のしっぽは再生することで有名である。
捕まえようとすると簡単にしっぽを切り落として逃げていく。
その後に新しいしっぽがはえてくるのだが、切れたしっぽの一部が離れずにくっついていると、新しいしっぽと古いしっぽの2本になってしまう。
この珍しい例は、人間は喜んでいるが、カナヘビ本人にとってみたら不便でしょうがないだろうなと思ってしまう。
しっぽが2本あるカナヘビ(西海市で撮影)